遺言書を作成することなしに一定の財産を持った人が亡くなると、その財産は民法によって定められた人たちのもとに渡ります。このことを「法定相続」といいます(民法887、889、890条)。
以下では、民法の規定によって、誰が(相続人)、どの程度(法定相続分)相続するのかをみていきましょう。
法定相続分とは、相続人が複数いる場合に、法定相続によってそれぞれの相続人に相続されることになる相続財産[*]の割合をいいます(民法887条、889条、890条)。
法定相続分の具体的な割合は以下の通りです。
相続人 | 相続分 | |
---|---|---|
配偶者と子(直系卑属) |
配偶者=2分の1 | 子=2分の1 (子が二人のときは4分の1ずつ) |
配偶者と親(直系尊属) |
配偶者=3分の2 | 親=3分の1 (親が二人の場合は6分の1ずつ) |
配偶者と兄弟姉妹 |
配偶者=4分の3 | 兄弟姉妹=4分の1 (兄弟姉妹が2人いる場合は8分の1ずつ) |
なお、かつては、非嫡出子[*]の法定相続分は、嫡出子[*]の2分の1
でしたが、平成25年9月5日にこの規定は非嫡出子を差別するもので
憲法違反であるとする判決が出たことにより、民法900条第4号但書
が改訂され、非嫡出子と嫡出子の相続分は同等となりました。
新しい民法の規定は、最高裁判決の出た平成25年9月5日から適用さ
れます。
被相続人[*]が6000万円を残して死亡した場合を考えましょう。
相続人が、配偶者と子2名
相続人が、子2名
-1 平成25年9月5日以降
嫡出子と非嫡出子の相続分が同等
-2 平成25年9月5日より前の相続
非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1
相続人が、配偶者と父母
相続人が、配偶者と姉妹