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法律用語集

遺贈

遺言によって、遺言者の財産の全部又は一部を他の者に無償で与えることをいいます(民法964条)。
遺贈によって財産を受ける者のことを「受遺者」といいます。

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遺留分/遺留分権利者

一定の相続人が取得することが法律上必ず保障された、相続財産の一定の割合を「遺留分」といい、遺留分が保障された相続人を「遺留分権利者」といいます。具体的には、被相続人の配偶者、直系卑属及び直系尊属がこれにあたります。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人であるときは相続財産の3分の1、その他の場合には2分の1です(民法1028条)。

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遺留分減殺請求権

「遺留分減殺請求権」=遺留分を侵害する遺贈や贈与が行われた場合に、そのような遺贈や贈与は法律上当然に無効となるわけではなく、遺留分権利者が、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、その遺贈や贈与の効力を否定(減殺)するよう請求することによって、侵害された遺留分額を取り戻すことができます。このような請求をする権利を「遺留分減殺請求権」といいます(民法1031条)。

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特別縁故者

被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者など、被相続人と生前特別の縁があった者をいいます。相続人がいないときは、家庭裁判所が相当と認めれば、特別縁故者に財産分与が行われる場合があります。(民法958条の3)

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被相続人

亡くなった方、すなわち死亡によってその法律上の権利義務を承継される者をいいます。

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直系卑属

子や孫のように、ある者からみて、世代を直下したかたちでつながる関係にある親族のことをいいます。

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直系尊属

祖父母や父母のように、ある者からみて、世代を直上したかたちでつながる関係にある親族のことをいいます。

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不徳行為

相続人として財産を相続するのが正義に反するような行為をいい、その程度が重大な場合には、法律上当然に相続資格が剥奪される(相続欠格)ことになります(民法891条)。

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動産

不動産以外の全ての物をいいます(民法86条2項)。ただし、自動車、船舶、航空機などのように登録制が採用されているものについては、登録されれば不動産に準じた扱いを受けます。

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不動産

土地及びその定着物をいいます(民法86条1項)。定着物とは、土地に固定されており、継続的に土地に固定されて使用されるものをいいます。具体的には、建物のほか、石垣、庭石、線路、銅像、植物の苗、立木法上の登記を備えた立木、などがこれにあたります。

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債権

特定の人(債務者)に対して、一定の行為をすることを請求する権利をいいます。例えば、売買契約であれば、買い主の商品を引き渡すよう請求する権利や、売り主の代金を請求する権利などがこれにあたります。

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債務

特定の人(債権者)に対して、一定の行為をすることを内容とする義務をいいます。例えば、売買契約であれば、買い主の代金を支払う義務や、売り主の商品を引き渡す義務などがこれにあたります。

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特別受益/特別受益財産

相続人のひとりが、被相続人から、遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与されることを「特別受益」といい、受け取った財産を「特別受益財産」といいます(民法902条1項)。相続人間の公平のため、特別受益がある場合には、相続分の計算の際に考慮されます。

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特別受益の持ち戻し免除の意思表示

相続人間の公平のため、特別受益がある場合には、相続開始時の財産に特別受益財産を加えたものを相続財産とみなし、相続分が算定されます。これを「持ち戻し」といいます(民法903条1項)。しかし、被相続人が、このような持戻し計算をしない取り扱いをする旨の意思表示(持ち戻し免除の意思表示)をしていたときは、遺留分を害しない限り、その意思が尊重されます(同3項)。

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共同相続人

2人以上の相続人が共同で遺産を相続する場合の、各相続人をいいます。日本では、戦前の長子単独相続制度が廃止されて、均分相続を旨とする共同相続制度が採用されています。

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法定相続分

民法の規定によって定められた相続分をいい、遺言で相続分が指定されていない場合に適用されます。法定相続分は相続人の組み合わせによって異なり、(1)配偶者と子が相続人の場合には各2分の1の割合で、(2)配偶者と直系尊属が相続人の場合には、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1の割合で、(3)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合には、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で、それぞれ相続します。そして、子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いるときには、原則として均分して相続することとされています(民法900条4項)。

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相続持分

相続財産に対して各相続人が有する権利または権利の割合をいいます。

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法定相続人

民法の規定によって定められた相続分(法定相続分)を有する相続人をいいます。

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単純承認

相続開始後に、相続人が、被相続人の権利義務を全面的に承継することを受諾して、相続を承認することをいいます。単純承認によって、相続人は被相続人の権利と義務を無限に承継することになります(民法920条)。

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預金債権

銀行等の金融機関に預けられていた金銭を、引き渡すよう求める権利をいいます。

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登記

一定の法的要素(権利関係や法的地位など)について、法務省管轄の官署(登記所)に備えられた公簿(登記簿)に記載する行為、または、記載そのものをいいます。記載内容につき、第三者にわかるように公にすること(これを公示といいます)が目的です。不動産登記、商業登記、立木登記、船舶登記などがあります。

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登記申請

登記は、法律に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官公署の嘱託がなければすることができません(不動産登記法16条1項)。これを、申請主義といいます。平成17年3月に施行された新不動産登記法により、これまでの書面申請に加えて、オンライン申請が導入されました。登記申請の手続きについて詳しくは、最寄りの法務局にお問い合わせください。

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求償

債務の弁済や損害賠償をした者が、不公平を内部的に清算するため、他の支払義務者に対し、支払分の返還又は弁済を求めることをいいます。

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寄与分

共同相続人のうち、相続財産の維持や増加について特別の貢献(寄与)をした者がいる場合に、その者に対し、その寄与に相応して相続財産から取得することが認められる取り分をいいます(民法904条の2)。

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調停調書

調停手続きにおいて、裁判所書記官は原則として調書を作成しますが(民事調停規則11 条)、そのうち当事者間で成立した合意内容を記載した調書をいいます(民事調停法16条、家事事件手続法268条1項)。調停調書が作成されてはじめて調停は成立したことになり、調停調書の記載には、裁判所の確定判決(和解判決)と同じ効力が認められます(民事調停法16条)。

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不調

調停手続きにおいて合意が得られず、調停が成立しないで終了することをいいます。

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法人

自然人(人間)以外で、法律上、権利義務の主体となることを認められたものをいいます。例えば、相続人の存在が不明の場合に、相続財産が無主の動産となることを防ぐため、法律上の擬制により、相続財産を法人として取り扱われます(これを「相続財産法人」といいます)。

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利害関係人の請求

ここでいう利害関係人とは、相続財産の帰属について法律上の利害関係を有する者をいい、例えば、遺贈を受ける者(受遺者)、相続債権者、相続債務者、相続財産に担保権の設定を受けた者、被相続人に求償権を有する被相続人の債務の保証人などがこれにあたります。

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相続財産管理人

相続人の存在が不明な場合に、相続財産法人の代表者として、相続財産を管理・清算するため、家庭裁判所によって選任される、相続財産法人の管理人をいいます(民法952条)。

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行為能力

単独で有効な法律行為(法律関係を変動させる行為)を行うために、行為者に求められる法的地位又は資格のことをいいます。

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遺言執行者

遺言の内容を実現するのに必要な行為を行うために、選任された者をいいます。未成年者と破産者は遺言執行者にはなれません(民法1009条)。

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推定相続人

相続が開始された場合に、民法の規定によれば相続人となるはずの者をいいます。

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検認

遺言の方式に関する一切の事実を調査する、家庭裁判所での手続きをいいます(家事審判規則122条以下)。公正証書以外の全ての遺言書については、その保管者が相続の開始を知った後遅滞なく、また保管者がない場合に相続人が遺言書を発見したときは、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して検認を求めなければなりません(民法1004条1項)。

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嫡出子

婚姻関係にある夫婦から生まれた子のことをいいます。嫡出子であることの証明は難しいため、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」との嫡出推定の定めがあります(民法772条1項)。

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非嫡出子

民法上の「嫡出でない子(779条)」のことで、法律上の婚姻関係にない男女間で出生した子は嫡出の推定を受けないため、こう呼ばれます。最近では、「婚外子」という呼び方もします。

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身元保証

労働者の行為により使用者が受けた損害を、身元保証人が賠償することを約束することをいいます。使用者と身元保証人との間で身元保証契約を結ぶことにより行います。

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一身専属

ある権利を有する者が、その権利との間に特別の関係があるために、その権利はその人にのみ属し、権利の譲渡や移転につき制限を受けるものであることをいいます。このような性質を「一身専属性」といい、その権利は「一身専属権」であるといいます。例えば、親権は、親以外の者が行使したり、譲渡したりできませんが、この場合、親権は一身専属性があり、親の一身専属権である、ということになります。

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申述

自らの意思を申し述べることをいいます。通常は「申述書」という書面を提出して行います。 例えば、相続の放棄や、相続放棄の取消し、限定承認などを行う場合には、「その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」とされています(民法938条、919条4項)。

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贈与

当事者の一方が、自己の財産権を無償で相手方に移転する意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約のことをいいます(民法549条)。書面によらない贈与も有効です。

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承継人

法律関係にかかわる権利・義務について、当事者から移転を受けた第三者をいいます。承継人には、契約により移転を受けた「特定承継人」と、相続・包括遺贈・合併等により移転を受けた「包括承継人」とがあります。前者は、他人の個々の権利・義務を、個々の原因に基づいて個別に取得した者で、後者は、他人のすべての権利・義務を、単一の原因に基づき一括して取得した者です。

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減殺

減らすこと、あるいは、少なくすることをいいます。遺留分権利者の減殺請求(民法1031条)などで用いられています。

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基礎控除額

所得税法上、納税者の生活の最低限度に課税することを避けるために設けられている制度で、所得控除として認められているものをいいます。

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特別養子縁組

養子となる者の福祉のため、縁組みによって、実親及びその血族との親族関係が終了し、養親子間のみに親子関係を存在させる縁組みです(民法817条の2~817条の11)。「完全養子」ともいいます。

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相続時精算課税贈与財産

贈与税の計算上、「相続時精算課税制度」を選択した場合に課税対象となる財産をいいます。贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、後者を選択できます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時に、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

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贈与財産

贈与の対象となる財産をいいます。

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相次相続

短期間に相次いで相続が起きることをいいます。

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消滅時効

権利を行使しない状態が一定期間(これを「時効期間」といいます)経過した後に、その権利が消滅することをいいます。時効期間は、権利の種類に応じて20年、10年、5年、3年、2年、1年と異なります。消滅時効の効果は、時効の利益を受ける旨の意思表示(これを「時効の援用」といいます)をすることで発生します。あらゆる権利が消滅時効の対象となるわけではなく、所有権や占有権など、消滅時効にかからない権利もあります。

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除斥期間

法律関係の早期確定を目的に設定された権利行使期間をいいます。期間が経過すると(援用されるまでもなく)当然にその権利は消滅すること、期間の中断がないこと、期間の起算点が権利発生時であること、権利消滅の効果が遡及(権利発生時点までさかのぼること)しないこと、などが、時効期間と異なります。法律上は、除斥期間であることは明示されないので、条文に定められた権利行使期間が除斥期間か時効期間かをめぐって争いになることもあります。

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死因贈与契約

贈与契約の内容として、贈与する者の死亡と同時に贈与の効力を発生させる旨を約束することをいいます。契約の一種なので贈与を受ける者の承諾が必要であり、この点で、遺言によって財産を与える「遺贈」と異なります。

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権利者

ある義務の履行を求めることについて、法的正当性を有する者をいいます。特定の権利は相手方の義務と対応する概念ですから、権利者がいれば必ず義務者が存在します。

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受給権者

給付(特定の財産や物を供給したり交付したりすること)を受けることができる権利を有する者をいいます。給付の受給資格があっても、まだ権利が発生していなければ受給権者ではありません。

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みなし相続財産

民法上は相続財産とはされないものの、相続税法上は課税の対象となる財産です(相続税法3条)。死亡保険金や死亡退職金がその代表例です。

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非課税財産

墓所、霊廟、祭具などです(相続税法12条)。香典も、社会通念上相当と認められるものは非課税です。また、「みなし相続財産」とされる死亡保険金や死亡退職金も、その一定額については非課税財産とされています。
なお、自動車事故などで死亡した場合に受け取る損害賠償金も、現在の課税実務上は、全額非課税とされています。

出典:
・佐藤幸治ほか(監修)「コンサイス法律学用語辞典(三省堂)」2003.12
・内田貴「民法Ⅳ(東京大学出版会)」2002.7

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