遺言とは、死後の自分の財産の相続に関する意思表示です。法律の定める要件を満たしていれば、遺言に法的効果が認められますので、特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合や、相続人でない人に財産の一部をあげたり、寄付したいという場合には、遺言書をつくっておけばよいわけです。
死んだ後に遺言書どおりの相続を実現するために、遺言書で、遺言執行人を指定しておくこともできます。
遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。
普通方式は通常行われる遺言の方法であり、
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
の3種類があります。
特別方式には、
応急時遺言、隔絶地遺言
の2種類があります。
特別方式は、死が差し迫った緊急の場合に用いられる方式であり、普通方式が本来の遺言の方式です。
普通方式遺言 | 特徴 |
---|---|
自筆証書遺言 | 遺言者が、全文、日付および氏名を自書し、押印する方式。 |
公正証書遺言 | 遺言者が伝えた内容にそって公証人が遺言書を作成する方式。 2人以上の証人が必要。 |
秘密証書遺言 | 遺言者が遺言書(パソコンで作成してもよい)に署名押印して封印し、公証人に提出する方式。 2人以上の証人が必要。 |
遺言書を作成していれば、相続財産の分割方法を指定することができますので、相続人が遺産分割の協議をしなくても、遺産を分割することができます。そのため、相続人らは、相続財産をどのように分割するかについて争う必要がなくなります。特に、動産[*]及び不動産[*]の評価を決定した上、誰がどのような財産を取得するかを決める必要がある場合は、紛争が生じやすいため、遺言によって、このような争いを未然に防止することは重要です。
また、場合によっては、遺言により相続財産を明示することによって、相続人が相続財産を見過ごすことを防止する効果もあります。
したがって、遺言を作成することは、相続人間における紛争を未然に防止すると言った観点から見て、大切なことだと考えます。