相続があったからといって、相続人は常に相続税の申告・納付をしなければならないということではありません。
相続税は、プラスの相続財産(資産)とマイナスの相続財産(負債)が基礎控除額[*]を上回る場合にだけ、支払う義務が生じます。
- 基礎控除額の計算方法(相続税法15条)
- 3000万円+(600万円×法定相続人の数※)
たとえば、夫が死亡し、妻と子ども2人が相続するケースでは、
基礎控除額=3000万円+(600万円×3人)= 4800万円
したがって、債務を控除した後の夫の正味財産額が4800万円を超えなければ、相続税を支払う可能性はありません。
※「法定相続人」[*]の中には、相続放棄をした人も含まれます。他方で、申告書提出期限までに出生していない胎児は含まれません(ただし、その後出生した場合には、申告済みの相続人は、出生を知った日から4ヶ月以内に更正の請求をし、胎児自身は、出生後10ヶ月以内に相続税の申告をすることになります)。
なお、基礎控除額を増加させ、相続税の支払を不当に回避することを防ぐため、法定相続人として算入できる養子の数には制限があります。
被相続人[*]に実子がいない場合 | 2人 |
被相続人に実子がいる場合 | 1人 |
※特別養子縁組[*]による養子の場合は、「養子」ではなく「実子」とみなされます。
さらに、これは税務上重要なポイントですが、相続財産の中核である自宅等の宅地等に関しては、小規模宅地等の評価減の特例がありますし、配偶者が相続した財産に関しては税額の軽減も認められています。