1987年に弁護士となり30年以上が経過しました。弁護士として生きていく上で大切なものを一つあげるとすれば「信用」です。ただし、能力的な信頼とか、経済面での信用だけではありません。英語でいうFiduciary Duty(信認義務)から来る信用、つまり職務遂行上、依頼者から秘密を明かしてもらう立場にある者が、その得た信用と情報の格差を利用して、個人的利益を得ることはしないことへの信頼です。
私の祖父は「松山の池田時計店に行けば直せるかもしれない」と時計職人から顧客を紹介されるような職人だったそうです。父は若くして父母を失いましたが、様々な人の温かい支援を得て教職につき、学び教える人生を全うしました。何よりも今日の私の存在を作った祖父母や父母に恥じない生き方をしなければならないと思っています。
ただ、もともと紛争を扱う仕事だけに、何が正しい判断なのか、迷うことも少なくありません。法的解決の限界と自らの非力を感じることもあります。業務の質をあげるためのチームでの取り組みの強化もまだ途上です。「信用」は日々の努力で一生こつこつ積み上げていくものであり、その実績とプロとしての矜持のうえに皆様からの「信頼」が成り立つものなのでしょう。
弁護士は皆様から「委任状」を頂きます。「委ね任せる」身になって、それに値するだけの知識、経験・技能、そして倫理と見識を身に着ける努力を怠らないプロでありたいと思います。
【中小企業法務】
開発案件の近隣交渉、中小企業支援協議会を通じたリスケ案件、社外取締役
【事業再生関連事件】
自動車部品製造会社会社更生法律管財人代理、外食チェーン民事再生申立代理人、ビジネスホテル民事再生申立代理人、専門商社事業譲渡(任意)代理人、外食産業事業再生、衣料品卸売事業再生代理人、ブライダル事業の事業譲渡代理人など
【環境関連事件】
能勢ダイオキシン事件(公害調停、労災訴訟、住民監査など)、橋本ダイオキシン公害調停、西吉野産廃事件、川西一般廃棄物施設住民訴訟、日赤跡地土壌汚染公害調停事件、看護師グルタルアルデヒド労災事件、寝屋川廃プラ処理工場事件、石原産業フェロシルト株主代表訴訟事件等
【渉外関連事件】
えひめ丸遺族損害賠償交渉(対米海軍)、某王国国王肖像侵害事件、プリンストン債幸福銀行損害賠償請求事件、米ゴルフ場買収民事調停事件、海外子会社過労死の日米での労災申請事件、米国でのクラスアクションへの対応等
【雇用関係事件】
大学内部における問題(アカハラ、セクハラ、パワハラ、内部での不祥事)
労災(火災、過労死・過労自殺、転落事故など)
【最近の主な論文】
『住民・事業者・行政の三面公害防止協定のポテンシャル』(環境法政策学会誌、2018)
『環境規制権限の適正な執行を目指してー西吉野産廃事件の経験から』(滝井繁男先生追悼論集「行政訴訟の活発化と国民の権利重視の行政へ」所収(日本評論社、2017)
『「正義は教えられるか?」から「正義をどう学ぶか?」へー危機に立つ法科大学院教育改革の視点―』(法と政治66巻2号129頁、2015)
『法律家養成制度改革論』(法と政治65巻3号1頁、2014)
『なぜ株主代表訴訟を提起するのか?―石原産業事件原告代理人の主張』(リスクマネジメント、86巻14頁、2014)
『環境分野における義務付け訴訟の「重大な損害」要件の克服』(水野武夫先生古稀記念論文集「行政と国民の権利」所収(法律文化社、2011)